リンクをクリップボードにコピー
コピー完了
Rec.2100 HLG のクリップをRec.709 のシーケンスで使う時の変換LUT を作りたいのですが、どのように作れば良いでしょうか?
◇私が試みた手順
1、Rec.709のカラースペースを持ったグラデーション素材を用意します。
2、Rec.2100 HLGのカラースペースを持ったグラデーション素材を用意します。
3、2つの素材をRec.709のカラースペースのシーケンスに読み込みます。
4、LumetriスコープのカラースペースをRec.709に設定します。
5、Rec.2100 HLGのグラデーション素材の波形がリニア(直線)になるようにLumetriカラーで調整します。
6、.cubeおよび.Lookファイルを書き出します。
7、Rec.709のカラースペースに設定したシーケンスに配置したRec.2100 HLGのグラデーション素材に.cubeもしくは.Lookを適用します。
◇結果
.cubeを適用するとLumetriスコープの75の値のところで波形がクリップされます。
.Lookを適用するとカーブした波形が直線に変換されました。
◇疑問点
1、このLUT作成の手順は正しいのでしょうか?
2、.cube適用時に75の値のところでクリップされるのはなぜでしょうか?
3、LUT適用前に、Rec.2100 HLG素材のカラースペースをフッテージ変換でRec.709に変換する必要があるのでしょうか?
(シーケンス設定と異なるカラースペースを持ったクリップのカラースペースの設定はどうすべきでしょうか?)
4、SDR最適化エフェクトを使えば変換用のLUTを使う必要は無いのでしょうか?
宜しくお願い致します。
※文章のみだと説明し辛いので手順をPDFにまとめました。
>1、「Premiere Proに色域・ガンマの変換を任せて・・・」これはフッテージを変換にてカラースペースの上書きを行う作業の事を指しているのでしょうか?
いいえ、違います。むしろ逆です。
Rec.2100 HLGの素材をRec.709 (SDR)のシーケンスで扱う場合、Premiere Proの「フッテージを変換」の「カラーマネージメント」にてカラースペースを「Rec.709」に上書きするという行為は、「Rec.709に変換」しているのではなく、カラースペースとガンマを「変換しないで」扱うということを意味します。
そのため、本来よりも色味が薄く、明るい部分のコントラストが柔らかいような見え方になります。
というわけで、
>2、Rec.709のシーケンスでRec.2100 HLGのクリップを使う時の手順としては(1)クリップのカラースペースをRec.709で上書きする。(2)SDR最適化エフェクトで調整を行う。というのが一般的でしょうか?
という方法は、誤りです。
HLGで撮影できるカメラが登場した当時、まだ編集ソフト側の対応がされておらず、HLGで撮影した素
...リンクをクリップボードにコピー
コピー完了
>1、このLUT作成の手順は正しいのでしょうか?
簡潔に申しますと、正しくないです。
ですので、(2)と(3)のご質問の内容も、おのずと意味を持たなくなるかと思います。
まず前提としまして、Rec.709 (SDR)と Rec.2100(HLG)は、ガンマカーブが異なるだけではなく「色域」もことなりますので、グレースケールだけで調整できるものではありません。
そして、表現できる「明るさの範囲」も「色域」もBT.2100(HLG)の方が広いですから、Rec.709に変換するためには「表現できない部分」をどうするかという問題もあります。
>4、SDR最適化エフェクトを使えば変換用のLUTを使う必要は無いのでしょうか?
LUTの使用とSDR最適化エフェクトの使用は直接対応するものではありませんので、ご質問の意図次第ということになると思います。
Premiere Proに色域・ガンマの変換を任せて、「ハイダイナミックレンジ」から「スタンダードダイナミックレンジ」への変換時にクリップされる部分を「SDR最適化エフェクト」で調整するというのが無難ではないかと思いますが、正解は一つではありませんので、制作内容に合ったワークフローを選んでいただく必要があると思います。
リンクをクリップボードにコピー
コピー完了
Ckun様
回答頂きましてありがとうございます。
手順に誤りがある事が理解出来ました。
2点、質問がございます。
1、「Premiere Proに色域・ガンマの変換を任せて・・・」これはフッテージを変換にてカラースペースの上書きを行う作業の事を指しているのでしょうか?
2、Rec.709のシーケンスでRec.2100 HLGのクリップを使う時の手順としては(1)クリップのカラースペースをRec.709で上書きする。(2)SDR最適化エフェクトで調整を行う。というのが一般的でしょうか?
LUTを使う事に特別こだわりは無いので事故が起きない変換手順であれば良いと考えております。
宜しくお願い致します。
リンクをクリップボードにコピー
コピー完了
>1、「Premiere Proに色域・ガンマの変換を任せて・・・」これはフッテージを変換にてカラースペースの上書きを行う作業の事を指しているのでしょうか?
いいえ、違います。むしろ逆です。
Rec.2100 HLGの素材をRec.709 (SDR)のシーケンスで扱う場合、Premiere Proの「フッテージを変換」の「カラーマネージメント」にてカラースペースを「Rec.709」に上書きするという行為は、「Rec.709に変換」しているのではなく、カラースペースとガンマを「変換しないで」扱うということを意味します。
そのため、本来よりも色味が薄く、明るい部分のコントラストが柔らかいような見え方になります。
というわけで、
>2、Rec.709のシーケンスでRec.2100 HLGのクリップを使う時の手順としては(1)クリップのカラースペースをRec.709で上書きする。(2)SDR最適化エフェクトで調整を行う。というのが一般的でしょうか?
という方法は、誤りです。
HLGで撮影できるカメラが登場した当時、まだ編集ソフト側の対応がされておらず、HLGで撮影した素材を無変換でRec.709で扱うという「誤った方法」で扱われることが多かった時期があるのですが、結果的にその「無変換」の状態のトーンを好んで使われるケースも多くあったようです。
そのため、Premiere ProにてHLGの素材を扱うときは「Rec.709」に上書きするという方法が一部で「正しい方法」として広まったりしているようですが、「本来の色・輝度表現を得る」という意味では(別途変換しない限り)誤りといえます。
Rec.2100 HLGの素材をそのまま(カラースペースの上書きをせず)Rec.709のシーケンスにのせていただき、ハードクリップ(白飛び)してしまう部分をソフトクリップさせるために「SDR最適化エフェクト」をお使いいただくというのが、一つの方法になると思います。
おそらく、HLG(ハイブリッド ログ ガンマ:低輝度から中間まではビデオガンマで、中間から高輝度部はログカーブということで、ハイブリッドです)の特性や実用上のパラメーター(例えば基準の白をHLGで75%にするといったことなど)について一通り把握していただいた方が、こういった変換についてご理解いただけるのではないかと思います。
現在検証でお使いになられているグレースケールのほか、HLGの実写素材やHDR用のカラーバー(ARIB STD-B72)をお使いいただくと、色の変化も視覚的に分かるのではないかと思います。
ARIB STD-B72の規格書をご覧いただくと、信号レベルを見るときにより理解しやすいのではないかと思います。
ARIB(電波産業会)のSTD-B72のリンクです。
リンクをクリップボードにコピー
コピー完了
Ckun様
大変に分かりやすく、かみ砕いて解説頂きましてありがとうございます。
フッテージを変換という用語に引っ張られてカラースペースを変換する機能と勘違いしてしまっておりました。
この機能はカラースペースに誤ったメタ情報が割り当てられてしまった際などに
本来の正しいカラースペースに書き換える為に使われるという理解で良いでしょうか?
よって、Rec.2100 HLGの素材をフッテージ変換でRec.709のカラースペースを上書き
するとアプリケーション側でRec.709のカラースペースの素材と認識してしまい、
色域とガンマの変換が行われない為に、正しく色を表示できないという事なんですね。
ご紹介いただいたカラーバーやHLGの実写素材を使って検証を進めてみたいと思います。
また、HLGの特性やパラメーターに関しても勉強して参りたいと思います。
今回とは逆のパターンでRec.709のクリップをRec.2100 HLGで使う際の、
手順に関してですが、今回教えて頂きました内容をふまえると「HDRグラフィックホワイト(ニッツ)」:203(75% HLG,58% PQ)」に設定してRec.709のクリップを読み込むのみで正しい色で表示できるという事でしょうか?
何度も質問ばかりで恐縮ですがご教示頂けますと幸いです。
リンクをクリップボードにコピー
コピー完了
>フッテージを変換という用語に引っ張られてカラースペースを変換する機能と勘違いしてしまっておりました。
>この機能はカラースペースに誤ったメタ情報が割り当てられてしまった際などに
本来の正しいカラースペースに書き換える為に使われるという理解で良いでしょうか?
おっしゃる通りの機能です。この点に関しては、公式マニュアルの記述も参考になると思います。
放送用 HDR (https://helpx.adobe.com/)
Rec.2100(HLG)の素材をRec.709にカラースペースの上書きをしてRec.709のタイムラインで扱うことを、私は技術的に「誤り」と表現しておりますが、
といったような場合には、Rec.709で上書きする方法が「適している」ということになるかと思います。
HLGは前の返信でも書きました通り、暗部から中間まではビデオガンマを踏襲しているので、原理的には単純に信号を2倍するとSDRとして扱えるという理屈です。
色域の違いはありますし本来の目的ではないものの、Rec.709仕上げの際に自力でグレーディングする際の出発点としては、この特性が使いやすいこともあるのだと思います。
>今回とは逆のパターンでRec.709のクリップをRec.2100 HLGで使う際の、
手順に関してですが、今回教えて頂きました内容をふまえると「HDRグラフィックホワイト(ニッツ)」:203(75% HLG,58% PQ)」に設定してRec.709のクリップを読み込むのみで正しい色で表示できるという事でしょうか?
申し訳ございません。その点に関して、私は未検証のため把握しておりません。そのような作業が必要になった場合(まだ本業では発生していないので検証と実務以外の作業ですが)は他社製のソフトを用いておりまして、この点(HDR対応をはじめ、素材やLUTのレンジ設定の有無など)だけに関して忖度なしに申しますと、Premiere Proは使いにくいと感じております。
Rec.709(SDR)からRec.2100(HLG)の変換では、狭い輝度範囲・色域から広い輝度範囲・色域への変換なので、全ての情報を欠落することなく入れ込むことができます。
日本の放送では、SDRの白100%をHLGの75%にマッピングすることになっています(ARIB TR-B43)。
その際に、シーン参照・ディスプレイ参照といったワードも出てくるわけですが、Premiere Proでそういった設定をどう扱うのかは、正直なところまだ調べてもいない状況でした。
おそらく、今後のアップデートでそういった部分への対応も強化されてゆくのではないかと、個人的には思って(願って)います。
リンクをクリップボードにコピー
コピー完了
Ckun様
回答頂きましてありがとうございます。大変参考になりました。
Rec.2100 HLG のクリップをRec.709 のシーケンスで使う時の手順に関して正解の回答を頂きましたのでRec.709のクリップをRec.2100 HLGのシーケンスで使う際の手順に関する質問は別のスレッドで立ち上げたいと思います。
本当にありがとうございました。
リンクをクリップボードにコピー
コピー完了
横からすいません。
シンプルにHDR素材をSDRのシーケンスで普通に使用したい(SDRとして)
ということであれば、フッテージの変換でいけるかもしれません。
お試しください。