●そもそも、カラー設定の作業用スペースがsRGBで、Photoshopの新規作成でadobeRGBでカンバスを作成する、というのはどういう状態なのでしょうか? Adobe RGBでドキュメントを作成したり、Adobe RGBとして開いた場合、カラー設定の作業用スペースは関係ありません。関係しません。 ●カラー設定の作業用スペースがsRGBだった場合、adobeRGBの写真を挿入しようとするとプロファイルの不一致の警告がでます。(そういう様に先程設定しました)このまま、「保持」を選択すると、sRGBの作業空間にadobeRGBにカンバスや写真がある。という認識にてよろしいでしょうか?? 前出のように、Adobe RGBとして開いているならカラー設定は関係しません。 作業空間ではなく、「プロファイルが無い場合にしょうがなく使うためのデフォルトプロファイル」として設定するものです。 ●adobeRGBのカラープロファイルは保持されているので、書き出しをする際に「カラープロファイルを埋め込む」をするとadobeRGBで書き出され、「sRGBにて書き出し」をするとsRGBで書き出される。という事でよろしいでしょうか? sRGBにて書き出し、がどの機能を使うかによりますが、「sRGBに変換」して書き出すもの(Web用に書き出し)であればそうです。 ●上記を書いていて思ったのですが、sRGBの作業用スペースで正しくadobeRGBの画像を正しい色で編集できるのか?と思ってしまいます。adobeRGBの画像を正しい色で編集しようと思った場合、作業用スペースをadobeRGBにしてから作業しなければならない、という考えは正しいですか? いいえ、間違っています。上でも挙げているように、Adobe RGBとして開いているのであればカラー設定の作業用スペースは関係ありません。 ●最終目的として、Lightroomで現像した写真をPhotoshopでレタッチして、完成させるわけですが、 ・ネットにアップして第三者ほか多くの人にスマホやPCで見てもらう ↑この場合、sRGBが好ましい?(webの基本的なカラープロファイルはsRGBであるため。また見るモニターがすべてadobeRGBに対応している訳ではないので) モニターについては図に示したように、カラーマネジメントを行うアプリで表示すれば、「同じ色が出る範囲」では同じ色になります。 また、Adobe RGBではありませんが、iPhone/iPad/Macや一部AndroidはDisplay P3のような、Adobe RGBと同等程度に広い……つまり、Adobe RGBのような鮮やかさを出せるディスプレイで表示しています。※これを一般に「広色域ディスプレイ」というくくりで表現します。 カラーマネジメントに対応しているアプリには、Photoshop/Lightroom等の他にも、Safari、Chrome、FirefoxといったWebブラウザがあります。 と言うわけで、DisplayP3やAdobe RGBプロファイルを埋め込んだ画像でも、「本来は」どんなモニタでも大きく色ずれするということはありません。 それにも関わらずsRGBに変換することが推奨されるのは、以下の理由です。 ・Webブラウザは、プロファイルが無い画像はsRGBプロファイルを強制的に割り当て、sRGBとして表示する。このため、「数値はAdobe RGBのものなのに、プロファイルだけが付け替えられることで、sRGBの色になってしまう」ということが起きます。具体的には画像全体が大きくくすみます。 ・かようにプロファイルは重要なものであるにも関わらず、SNSなどのWebサービスでは、アップロードした画像をファイルサイズを落としたり、サムネイルを生成したり、といった処理をするためにサーバー側で加工することがあります。その際に、カラープロファイルを削除してしまうことがまだあります。 ・プロファイルを削除された画像をWebブラウザで表示すると、プロファイルが無いため仕方なくsRGBを強制的に割り当てて表示するため、元々sRGBだった画像以外は大きく色が変わります。 そのため、sRGBにしておいたほうが安全だろう、ということです。 ただし、これは昨今はかなり変化してきており、「Web用ならsRGB」ということは常識ではなくなってきています。 ・街のスピードプリント(写真屋さん)にて印画紙にプリントする ↑sRGBが好ましい?(スピードプリントの印画紙を印刷するノーリツなどの機械はadobeRGBデータはsRGBに変換され印刷されると聞きました)(プロラボの堀内カラーのラムダプリントなどはadobeRGBで印刷可能との事なので、そういった場合はadobeRGBで写真を作成する) ・その他、印刷所や渡す相手が指定したプロファイルにて写真(データ)を作成する という事で大体考えは合っていますでしょうか? はい。 ●付随する質問ですみません。ここまでadobeRGBの扱いが面倒ですと、いつ使うのか、と思ってしまうのですが、adobeRGBの様なカラープロファイルは、 ・映画館で上映する動画データに利用(動画はまた別で実際にはadobeRGBではないと思いますが。またこれも、書き出しをする際に家のテレビで見れるよう、sRGBクラスのデータで書き出しもしておいているというイメージ?) ・雑誌社に掲載する写真を作成する際に印刷会社からadobeRGBで指定されている ・写真展を開いてプロラボにできるだけキレイな色で印刷したい場合 ・絵画の複写(それを印刷して画集にするなど)など、正確な色表現が必要になる などの用途で使用されるのでしょうか?また、見て分かるくらい綺麗なのか?実際には皆adobeRGBで作成するのは編集耐性があるからで、最終的に必要なデータはsRGBで十分という使い方をしている? AdobeRGBはもともと、CMYKの色域を包括するものとして作られました。sRGBでは色域(再現できる色の範囲)が狭すぎて、印刷では出る色なのにsRGBでは出ない、ということが起きてしまうからです。 従って印刷用途の画像はAdobe RGBで現像することが多いです。 ※Adobe RGBの扱い………ではなく、「カラープロファイルの扱い」です。プロファイル操作は画像を扱う、特に仕事として扱う場合は必須の知識だと思います。 上に書いたように、ディスプレイ主導の現在ではAdobe RGBやDisplay P3といった広色域デバイスできれいに見えるようにすることも当然求められます(iPhoneで撮影すればsRGBでなくDisplay P3の色域で撮影されますし)。sRGBもAdobeもp3も、ProphotoRGBも使い分けです。 繰り返しますが、PhotoshopでAdobe RGBやDisplay P3として画像を開いたとき、カラー設定の作業用スペースは一切関係ありません。 ご自身で確認し、納得していただくために次の操作を行ってみてください。 ・画像をAdobe RGBとして開く ・情報パネルやドキュメントウインドウ左下でドキュメントのプロファイルがAdobe RGBとなっていることを確認する ・カラー設定を開き、「プレビュー」にチェックが入っていることを確認する ・カラー設定の作業用スペースのRGBをProPhotoRGBなどの極端に広い色域を持つものに変える。 以上の操作をしても、ドキュメントの色は全く変わりません。 カラープロファイルとドキュメントが結びついており、Photoshopはドキュメントのプロファイルを使って色表示しているからです。 では次に、こんな操作をしてください。ぜひやってください。 ・カラー設定は元に戻しておく ・画像を開き、もしプロファイル警告が出た場合は「埋め込まれたプロファイルを破棄」を選ぶ ・プロファイル警告が出ずに開けた場合は、編集メニュー>「プロファイルの指定」(※注意:変換ではない)を選び、「このドキュメントのカラーマネジメントを行わない」を選択してOKする。 ※この時点で、画像はプロファイルと切り離されました。「タグなし」という状態になります。 ・カラー設定を開き、作業用スペースのRGBを適当に変える 以上の操作をすると、作業用スペースの変更に従いリアルタイムで画像の色が変わります。 プロファイルが無いため、困ったPhotoshopはそういうときに使うための設定(作業用スペース)のプロファイルを強制的に割り当てて表示します。つまり、プロファイルと画像が紐付けられていない状態です。これをPhotoshop用語で「カラーマネジメントを行わない」と表現しますが、実際にはただプロファイルと紐付けない、程度の意味です。 Photoshopやカラマネするアプリは、必ず何かしらのプロファイルが表示に必要です。 無い場合に、しょうがなく使うためのプロファイルを、Photoshopでは作業用スペースとして設定し、WebブラウザはsRGBを指定します。 タグなし画像は、プロファイルが無い(タグ無し)なので、Photoshopのそういうとき用の設定に頼らざるを得ません。従って、カラー設定を変えると追従して色が変わります。 これはタグのない画像だけの話で、プロファイルを生かして開いている画像の場合、カラー設定は一切関係しません。「作業用」という言葉に惑わされないでください。 ※情報パネルなどの一部の数値表現などではカラー設定のプロファイルが使われることがあります。
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