インターレースについては、元々が「飛び越し走査」という最初の1/60秒で奇数ライン、次の1/60秒で偶数ラインを走査する仕組みでして、一から正確に説明するのは少々難しいものです。
(私は20年近く映像業界にいる、ポストプロダクションの技術職です。少し正確性を無視しつつ分かりやすく説明しようと思いますが、どうしても難しくなる部分があるかもしれませんがご容赦ください。)
>私の認識を一旦整理すると、29.97pは29.97fps、59.94iも29.97fpsとなると画面の動き方は同じではないのだろうか。
ここがまず、異なります。29.97fpsというのは、毎秒29.97枚のフレームで構成されるということを意味します。
先にプログレッシブの方を説明しますと、HDの29.97p(29.97fps)というのは、毎秒29.97枚の1920×1080の画像を記録する方式です。時間軸方向の情報としては、29.97枚の画像しかありません。
HDの59.94iは、1枚のフレームのうち、奇数番目のラインが最初の1/60秒の映像、偶数番目のラインが次の1/60秒の映像となっており、1枚のフレームに1/60秒の時間差のある2枚の映像(フィールド)が格納されています。
誤解を恐れず申しますと、1920×540の画像2枚が、1920×1080のフレーム1枚に入っていますので、(表現としては技術的には不正確ですが)『1920×1080 59.94i 29.97fps = 1920×540 59.94fps』というイメージです。
単純に1920×540と考えると垂直方向の解像度が半分になってしましますが、実際には奇数・偶数交互であることと、受像機側のi/p変換が優秀なので、ほぼ1920×1080 59.94fpsと遜色ない表示が得られます。
たまに、「インターレースだから動きのある部分が櫛状になっている」という言われ方をしますが、時間差のある2枚の画像が入っているからズレが櫛状に見えているだけでして、正しく放送されるなりしてテレビで表示される際には、櫛状にずれて表示されることなく毎秒59.94枚の映像として再生されるわけです。
>より綺麗な映像のために「少しカクカクした」部分を59.94pの映像で補完することになるため59.94pで収録する必要がある、という捉え方で間違いないでしょうか。
これも考え方としては誤りということになります。補完ではなく、59.94iの映像を得るためには確実に必要な情報ということになります。
別な見方の方が分かりやすいかもしれません。例えばAVCHDカメラや一部のXDCAMカメラでは、「59.94i (29.97fps)」と「29.97p (29.97fps」の2種類の記録モードがあります。
それぞれ実際にテレビでご覧いただくと、映像の質感が全く異なることはお分かりいただけるかと思います。
それに対して、59.94iと59.94pは、あまり差が分からないと思います。
(技術者的には、細かい横線のちらつきなどに差が出ることはよく知られています。)
HDの29.97pは、毎秒29.97枚の1920×1080の映像を記録します。どう頑張っても、時間軸方向の情報は毎秒29.97枚しかありません。
59.94iは、先ほど書きました通り(誤解を恐れず書くならば)1920×540 59.94fpsのことですから、時間軸方向に59.94枚の映像があります。
ですから、59.94i (29.97fpd)と29.97p (29.97fps)は時間軸方向の情報量が倍異なるということになります。
ここで、59.94iを選択できないカメラにて59.94p(1920×1080 59.94fps)で撮影した素材であれば59.94iに無理なく変換できる理屈を説明してみます。これはとても簡単です。
まず、59.94pで撮影した映像の1フレーム目から奇数番目のライン540本を抜き出します。次に59.94pで撮影した映像の2フレーム目から偶数番目のライン540本抜き出します。そして、それら奇数・偶数の各540本のラインをまとめて1枚のフレームを作成します。こうしてできたフレームが、59.94i(29.97fps)の1フレームです。
同様に、59.94pの3フレーム目の奇数ラインと4フレーム目の偶数ラインを用いて、59.94i(29.97fps)の2フレーム目を作成します。
つまり、時間軸情報としては、59.94pの素材の情報を余すところなく使っています。
別の見方をすると、1920×1080 59.94fpsで撮影した映像から、交互に偶数番目と奇数番目のラインを間引いた結果が59.94i (29.97fps)とも言えます。
59.94p(59.94fps)から59.94i(29.94fps)への変換で間引いているのは垂直方向の空間情報であって、時間軸方向の情報では無いことに十分な注意が必要になるかと思います。