もしポスプロやMAなど外部の技術会社と組んでのプロジェクトでしたら、最終用途に合わせてそれぞれの技術責任者同士で相談するべきことですが、一般論としてわかる範囲でお答えしてみます。 システム周波数の混在について 23.976fpsと24.000fpsの素材は、ほぼ問題なくPremiere Pro CCのひとつのタイムラインで扱うことができます。「ほぼ」とあえて書いたのは、タイムラインのフレームレートと異なる素材は0.1%の早回しもしくは遅回しにして使用することになるからです。 仮に、23.976fpsのタイムランで編集するとしましたら、24.00fpsで撮影した素材は「フッテージを変換」の「フレームレートを指定」で23.976と入力します。確定すると四捨五入されて23.98と表示されますが、問題はありません。0.1%遅く再生され、23.976fpsの素材として扱えます。 この「フッテージの変換」でフレームレートの書き換え操作を行わないと、速度も音声のピッチも変わりませんが、1000フレームおきに1フレームフリーズしたり、逆に1フレーム飛ぶという状態になります。 0.1%の差はほとんど問題にならないと思いますが、ワンカットを長回し作品ですと同録音声のシンクロ、音楽を題材とした作品ですと音響監督のこだわりなどでわずかなピッチチェンジも許されないなど、注意が必要になるかもしれません。 システム周波数の使い分け 映画館でのDCP上映が主な用途の場合は24.00Hz、ビデオ上映(Blu-ray, テレビ放送などなど)が主な用途場合は59.94Hz(23.976Hz)という使い分けが一般的かと思います。 システム周波数が2種類ある理由 根本的な理由はテレビの白黒放送からカラー放送に変わったときの干渉ノイズ対策まで遡らなくてはならないので割愛しますが、要は現在日本やアメリカなどで採用されているテレビ放送の周波数が59.94Hzであることが主因です。 映画のフィルムは毎秒24コマなので24.00Hzであり、DCPデジタル上映素材も24.00Hzで制作されています。そのため、劇場公開映画を作る場合は特別なことが無い限り24.00Hzが使用されます。 24.00fpsの映画をテレビ放送する場合にはテレシネ作業で2-3(3-2)プルダウンという方法を使い、24*5/2=60で毎秒60フィールドとしますが、テレビは59.94Hzなので微妙に合いません。そこで、ほんの少し(0.1%)フィルムを遅く23.976コマ/秒で再生すると、プルダウン後に59.94Hzのテレビ方式に合致します。 このテレシネの仕組みを逆に考えて、テレビを基準に作られた59.94Hzの編集システムで容易に24pを扱おうと考えた場合、23.976fpsで制作するのが楽ということで、シネマ系ではなくビデオ系の24p制作環境は大抵23.976fpsが使用されています。 23.976fpsで制作した場合は劇場公開できないのかといえばそんなことはなく、単純に0.1%速度を早めて24.00fpsとして上映素材の制作が可能です。
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